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銀行はファクタリングをやっている?提携とABLの違い

銀行はファクタリングをやっている?提携とABLの違い

「銀行ファクタリング」で検索すると、銀行のロゴが付いたファクタリングサービスが出てきます。では銀行そのものが請求書を買い取っているのか。公式リリースと条文をたどると、実体はもう少し込み入っています。

結論から言うと、いま増えているのは銀行がファクタリング会社と提携して顧客に案内する形です。2026年8月14日にはOLTAとりそなホールディングスが資本業務提携を発表しており、この流れがはっきりした形で表れています。確認日は2026年9月26日です。

■ この記事の結論
  • ▸銀行名の付いたファクタリングは、銀行が案内役で、審査と買取はファクタリング会社が行う形が中心です
  • ▸OLTAの提携金融機関は48(銀行33行・信用金庫14金庫・信用組合1組合)。りそなHDとの提携で50を超える見通しです
  • ▸銀行法10条2項5号に「金銭債権の取得又は譲渡」があり、法的には銀行が債権を買い取ることも可能です。ただし本業ではなく付随業務の位置づけです
  • ▸売掛金を使う制度としてABL(売掛債権担保融資)がありますが、これは融資なので負債が増えます
銀行とファクタリングの関係の早見表
銀行名のサービスの実体ファクタリング会社が企画・開発・運用を提供し、金融機関が顧客に案内する形(OLTAの提携リリースの定型文)
OLTAの提携金融機関数48(銀行33行・信用金庫14金庫・信用組合1組合、2026年6月1日時点)
りそなHDとの資本業務提携2026年8月14日発表。第三者割当増資により25.0億円。OLTAはりそなHDの持分法適用会社となる
提供予定の範囲りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行の4行。提携金融機関数は50を超える見通し
提供開始時期・料率「決定次第お知らせします」とされており、本記事では扱っていません
銀行法上の位置づけ第10条第1項=預金・貸付・為替が本業/第10条第2項第5号=「金銭債権の取得又は譲渡」は付随業務
ABL(流動資産担保融資保証制度)保証限度額2億円/保証割合8割/保証料率 年率0.68%/保証期間1年間/借入限度額2億5,000万円
ABLの対象外譲渡禁止特約の付いた売掛債権は対象外
手形・小切手全国銀行協会は2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所での交換枚数をゼロにする目標を掲げている
でんさいネット株式会社全銀電子債権ネットワーク。全国銀行協会の100%子会社。参加金融機関は合計488(2026年5月2日現在)
OLTA・中小企業庁・金融庁・全国銀行協会・でんさいネット・e-Gov法令API(確認日:2026年9月26日)

銀行はファクタリングをやっているのか

銀行とファクタリングの関係の早わかり図
銀行名が付いたサービスの多くは、ファクタリング会社との提携によるもの

銀行名の付いたクラウドファクタリングは実際に存在します。ただし各提携リリースの説明を読むと、役割分担が明確に書かれています。

“OLTAがWebサービスの企画・開発・導入および運用におけるコンサルティングを提供し、金融機関は法人・個人事業主のお客様にサービスをご案内します。
— OLTA 提携リリースの共通表現(corp.olta.co.jp)

つまり銀行は案内役で、サービスの中身はファクタリング会社が用意しているという構造です。「○○銀行クラウドファクタリング powered by OLTA」という名前の付け方も、これを表しています。

要点銀行名のファクタリングは、銀行が自ら買い取っているとは限りません。提携の形を確認する価値があります。

OLTAとりそなホールディングスの資本業務提携

2026年8月14日、OLTAはりそなホールディングスとの資本業務提携を発表しました。数字は次のとおりです。

出資額
25.0億円
第三者割当増資
OLTAの位置づけ
持分法適用会社
りそなHDの
展開範囲
りそなG4行
各行サービスとして
“本資本業務提携により、OLTAはりそなHDの持分法適用会社となりますが、OLTAの経営陣が主導する資本構成および経営体制は今後も維持し
— OLTA「りそなホールディングスとの資本業務提携」(2026年8月14日)

展開範囲として挙げられているのは、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行の4行です。これによりOLTAの提携金融機関数は50を超える見通しとされています。

⚠ 注意
各行での提供開始時期や条件については「決定次第お知らせします」とされています。この記事では、確定していない条件は扱っていません。
!専門目線ポイント!

このリリースで注目したいのは、資本関係の作り方です。持分法適用会社にとどめ、経営体制は維持すると明記されています。銀行グループに完全に取り込んでしまうと、銀行の与信基準に引っ張られていまの審査の速さや対象の広さが保てなくなる。その設計上の事情が読み取れます。

代表コメントには「銀行以外のプレイヤーである当社が「口座」とどのように接続するかは重要なミッシングピース」という表現があります。ファクタリングの審査は入出金明細に強く依存するので、口座情報に近づけることが審査の精度と速度に直結するという話です。提携が増える理由は、銀行側の顧客基盤だけではありません。

提携には3つの段階がある

OLTAのリリースを年月日順に並べると、金融機関との関係が段階的に深まっていることが分かります。

段階内容例
ビジネスマッチング金融機関が顧客に紹介する2020年1月15日 りそな銀行とビジネスマッチング契約
OEM提供金融機関名のサービスとして提供する2021年1月20日 鳥取銀行にOEM提供開始
資本業務提携出資を伴う提携2023年5月23日 岡崎信用金庫/2026年8月14日 りそなHD
OLTAの公式リリースにもとづく(確認日:2026年9月26日)

銀行のロゴが付いていても、段階によって関わり方が違います。いずれの段階でも、審査と買取を行うのはファクタリング会社側です。

OLTA自身の集計では、2026年6月1日時点でOEM提携する金融機関は48(銀行33行、信金14金庫、信用組合1組合)となっています。

銀行法では債権の買取はどう扱われるか

銀行が自ら債権を買い取ることは、法律上できないわけではありません。銀行法第10条を見ると、本業と付随業務が分かれています。

“銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。一 預金又は定期積金等の受入れ/二 資金の貸付け又は手形の割引/三 為替取引
— 銀行法 第10条第1項(e-Gov法令API)
“銀行は、前項各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務その他の銀行業に付随する業務を営むことができる。……五 金銭債権(譲渡性預金証書その他の内閣府令で定める証書をもつて表示されるものを含む。)の取得又は譲渡
— 銀行法 第10条第2項第5号(e-Gov法令API)

売掛債権の買取は、この第2項第5号「金銭債権の取得又は譲渡」に読める内容です。つまり銀行がファクタリングを行うことは法的に可能で、ただし第1項の貸付や手形割引とは違って付随業務の位置づけになります。

!専門目線ポイント!

条文を読むと「禁止されているから提携しかない」のではないことが分かります。できるがコスト構造が合わないという話です。請求書1枚あたり数十万円の取引を最短即日で回すには、銀行の与信プロセスとは別の審査基盤が必要になります。だから銀行は顧客接点を提供し、審査基盤はファクタリング会社が持つ。このほうが双方の得意分野に合う、という分業です。

要点銀行法10条2項5号に「金銭債権の取得又は譲渡」があり、法的には可能。それでも提携が主流なのは分業の効率です。

ABL(売掛債権担保融資)との違い

ファクタリングとABL(売掛債権担保融資)の違い
同じ売掛金を使っても、売るのか担保に入れるのかで扱いが変わる

銀行が売掛金を使って資金を出す制度としては、中小企業庁の流動資産担保融資保証制度(ABL)があります。制度の説明は次のとおりです。

“中小企業者が保有している在庫や売掛債権を担保として金融機関が融資を行う際、信用保証協会が債務保証を行う制度です。
— 中小企業庁 流動資産担保融資保証制度

「担保として」「融資を行う」「債務保証」という言葉が並んでいることが重要です。ファクタリングは債権の売買なので、この制度とは性質が異なります。

項目ファクタリングABL
取引の性質債権の売買(債権譲渡)債権を担保にした融資+信用保証
貸借対照表負債は増えない借入金が増える
未回収のときノンリコース契約なら買戻し義務なし返済義務が残る
費用買取手数料金利+信用保証料(年率0.68%)
上限会社ごと保証限度額2億円/借入限度額2億5,000万円
譲渡禁止特約つき債権会社によって扱いが異なる対象外
中小企業庁・金融庁の記載にもとづく(確認日:2026年9月26日)

ABLには保証人についての規定もあります。「法人代表者以外の保証人は徴求しません」とされており、保証期間は1年間、個別保証の場合は1年以内です。

また中小企業庁は、担保にした場合の受取額についても注意を示しています。

“売掛債権は売掛先が倒産するリスクなどがあるため、実際の売掛債権の額面のままの金額で借入れを受けられるわけではありません。
— 中小企業庁 流動資産担保融資保証制度

どちらを選ぶかの判断軸

ABLは年率0.68%の保証料率で、ファクタリングの手数料とは桁が違います。費用だけで比べればABLが有利です。一方で信用保証協会の審査を経るため、資金が届くまでの時間はファクタリングより長くかかります。

急ぎでなく、決算書がそろっていて、負債が増えても差し支えないならABL。数日以内に必要で、負債を増やしたくない、または決算内容に不安があるならファクタリング。この分け方が実務的です。

ファクタリング側の速さを比べるなら土日の受付時間の比較、手数料を比べるなら各社の手数料の公表値が判断材料になります。

主要ファクタリング比較

会社手数料最短入金対象必要書類
アクセルファクター2社間1.0%〜/3社間0.5%〜最短2時間法人・個人事業主3点公式
日本中小企業金融サポート機構1.5%〜最短3時間法人・個人事業主2点公式
QuQuMo(ククモ)1%〜(上限非公表)最速2時間法人・個人事業主2点公式
PAYTODAY1〜9.5%最短30分法人・個人事業主4点公式
labol(ラボル)一律10%最短30分フリーランス・個人事業主3点公式
ペイトナーファクタリング一律10%+振込手数料330円最短即日個人事業主・法人3点公式
各社公式サイトの公表値(2026年9月9日時点)。手数料の「〇%〜」は下限値で、実際の料率は審査結果によって決まります。

PR/表内の「公式」は提携リンクです。クリックしても利用条件は変わりません。掲載順と評価の決め方は掲載基準・評価方法で公開しています。

でんさい割引との違い

銀行が関わる債権の資金化として、でんさい(電子記録債権)の割引もあります。でんさいネットは全国銀行協会の100%子会社で、参加金融機関は合計488(2026年5月2日現在)です。

“支払期日前に割引として活用することが可能
— でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)

ただしでんさいは、支払う側と受け取る側の双方が利用契約を結んでいる必要があります。相手が使っていなければ選べません。ファクタリングとの詳しい違いはでんさいとファクタリングの違いで扱っています。

手形が使えなくなる流れ

全国銀行協会は、紙の手形・小切手の廃止に向けた目標を公表しています。

“全国銀行協会は、2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを目標に
— 全国銀行協会「手形・小切手の廃止について」

同協会は「手形・小切手の利用枚数はピーク時から約20分の1」「でんさいの利用は、2019年から5年間で約2.5倍」としています。

手形割引という資金化の手段が使いにくくなることで、でんさいとファクタリングの比重が上がる。これが背景の一つです。OLTA自身も、政府方針による手形・小切手の廃止に触れています。

掲載各社と銀行の関わり

当サイトが掲載している会社にも、銀行との関係が公表されているものがあります。

会社公表されている銀行との関わり
ビートレーディング取引金融機関:みずほ銀行/三井住友銀行/千葉銀行/GMOあおぞらネット銀行/PayPay銀行
GMO BtoB早払い運営のGMOペイメントゲートウェイの主要株主に株式会社三井住友銀行。貸金業者(東京都知事(7)第30802号)の登録あり
日本中小企業金融サポート機構経営革新等支援機関(関東財務局長および関東経済産業局長の認定)
各社の公式ページの記載(確認日:2026年9月26日)

ここで区別しておきたいのは、取引銀行があることと、銀行がサービスを提供していることは別という点です。GMOペイメントゲートウェイの貸金業者登録も、決済関連の別事業についての登録で、ファクタリングサービスの許認可ではありません。

そもそもファクタリング業に固有の登録や許認可の制度は存在しません。国の登録や許認可を根拠に安全性をうたう説明は、制度の作りと合いません。ファクタリング詐欺の手口と闇金の見分け方でこの点を公的資料から整理しています。

!専門目線ポイント!

経営革新等支援機関の認定を掲げている会社は、掲載社ではアクセルファクター・ビートレーディング・日本中小企業金融サポート機構の3社です。これは中小企業支援についての認定であって、ファクタリング業の許認可ではありません。審査の厳しさや手数料の低さを保証するものではないので、認定の有無ではなく公表されている条件そのもので比べるほうが確実です。

銀行の融資とファクタリングは併用できるか

ファクタリングは債権の売買なので、借入ではありません。そのため融資枠を消費せず、信用情報にも登録されない仕組みです。QuQuMoは「借入とは異なる為、信用情報にも一切関わりなくご利用いただけます」としています。

ただし売掛債権をABLの担保に入れている場合は、同じ債権を売ることはできません。二重譲渡になるためです。担保の対象になっている債権かどうかは、借入契約の内容を確認してから申し込んでください。

要点ファクタリングは融資枠を消費しません。ただしABLの担保に入っている債権は売れません。

銀行に相談するとファクタリングを紹介されるか

OLTAの提携が3段階に分かれていることからも分かるように、ビジネスマッチングの形で顧客に紹介する契約を結んでいる金融機関があります。取引銀行がOLTAと提携している場合、銀行経由で案内を受けられる可能性があります。

ただし銀行経由でも、審査と買取を行うのはファクタリング会社です。銀行が紹介したからといって条件が変わるとは限らないため、手数料や入金までの日数は個別に確認する必要があります。

融資が通らないときにファクタリングは選べるか

ファクタリングは債権の売買なので、審査の対象は主に売掛先の支払い能力です。そのため、自社の決算が赤字でも進む場合があります。

ベストファクターは「負債額や経営状態は考慮されません」、日本中小企業金融サポート機構は「ファクタリングは融資ではないので、赤字や税金滞納があってもご利用いただけます」としています。

一方でABLは信用保証協会の審査を経る融資なので、自社の状況が審査対象になります。審査で見られる相手が違うという点が、選択の分かれ目です。審査の見られ方はファクタリングの審査は甘いのかをご覧ください。

銀行ファクタリングに関するよくある質問

銀行はファクタリングをやっているのですか

銀行名の付いたクラウドファクタリングは存在しますが、提携リリースを読むとファクタリング会社が企画・開発・運用を提供し、金融機関が顧客に案内する形が中心です。銀行法第10条第2項第5号には「金銭債権の取得又は譲渡」があり、法的には銀行が債権を買い取ることも可能ですが、これは付随業務の位置づけです。

りそな銀行でファクタリングが使えるようになるのですか

2026年8月14日のOLTAのリリースでは、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行の4行で各行サービスとして提供するとされています。ただし提供開始時期や内容は「決定次第お知らせします」とされており、現時点で条件を確認できる段階ではありません。

銀行系のほうが手数料は安いのですか

提携によるサービスの手数料は、各行での提供条件が公表されていないため比較できません。制度としてのABLであれば、信用保証料率が年率0.68%と公表されています。ただしABLは融資なので、これに金利が加わります。

ABLとファクタリングはどちらが有利ですか

費用だけを見ればABLのほうが小さくなります。ただしABLは借入なので負債が増え、信用保証協会の審査を経るため時間がかかります。ファクタリングは負債が増えず入金が早い一方、手数料はABLの保証料率より大きくなります。急ぎかどうかと、負債を増やしたくないかどうかで分かれます。

銀行に知られずにファクタリングを使えますか

2社間ファクタリングは売掛先に知らせずに債権を譲渡する仕組みですが、取引銀行に対する扱いは会社によって異なります。仮想口座を使う会社もあるため、申込前に入金の流れを確認してください。仕組みそのものは2社間と3社間の違いをご覧ください。

手形割引はいつまで使えますか

全国銀行協会は、2026年度末(2027年3月末)までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにすることを目標としています。紙の手形を前提にした資金化の手段は、順次使いにくくなっていく見通しです。

でんさいとファクタリングはどちらを使うべきですか

でんさいは支払う側と受け取る側の双方が利用契約を結んでいる必要があります。相手が使っていなければ選べないため、自分の判断だけで動かせるのはファクタリングのほうです。詳細はでんさいとファクタリングの違いで扱っています。

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このページの数値と引用は、すべて各社の公式サイトの記載を直接確認したものです。他媒体の数字の転載や、当サイトの推測は使っていません。公式に記載がない項目は「記載なし」と書いています。(確認日:2026年9月26日/公式サイトの記載は予告なく変更されることがあります)